奇子、MW、ダスト18 手塚治虫生誕90周年 ー 嬉しい再発が続く。手塚治虫への出費が止まらない。

2018年11月3日は、手塚治虫が生まれてちょうど90年目にあたる。
生誕90周年である。

手塚プロダクションのホームページによると、2017 年 11 月 4 日~2019 年 11 月 2 日の期間、誕生日をはさんだ前後1年を「手塚治虫生誕90周年記念」期間と題し、様々な事業を展開するとある。
また、90 周年を共に盛り上げていただくビジネスパートナーも募集中とのこと。
※手塚プロダクションのホームページ: 
 https://tezuka.co.jp/files/90th.pdf



10年前にも、80周年の記念事業があった。
そのときの中心は、手塚治虫文庫全集200巻の発刊と生誕80周年記念 特別展「手塚治虫展~未来へのメッセージ~」だと思う。
※手塚治虫文庫全集のホームページ
 http://comic-sp.kodansha.co.jp/tezuka80/
※手塚治虫展を紹介する日経トレンディのホームページ
 https://trendy.nikkeibp.co.jp/article/pickup/20090420/1025623/

文庫全集の目玉は、”バンビ”やブラックジャックやミッドナイトの全集未収録作品であったが、未収録作品はほかで入手しており、元の全集および既刊作品はほぼ入手していたので、自分にとっての目新しさや感動はなく、出費に泣かされることもなかった。
80周年記念事業として、上を下へのジレッタの完全版(雑誌掲載時のオリジナル版と単行本版を収録)は飛びついたが。

上を下へのジレッタ 完全版(実業之日本社)
 


この本は、現在絶版のようだが、ぜひとも入手いただく価値のある一冊である。
ラストの違いを1冊で楽しめる(全集とは違うコミック版の解説もあり、3種のラストを知ることができる)
、手書きの吹き出しの味わい、充実の解説陣、太田光(爆笑問題)・香山リカ・小松左京・筒井康隆・豊田有恒・辻真先・二階堂黎人・吉田豪・竹内オサム・中野晴行・喜国雅彦。
900ページ近いが定価1800円(税抜き)の価格設定である。

豪華な装丁、愛蔵版にも惹かれるし、良質な画質を大判で作品を堪能できることは金銭を超えた魅力があると思う。
ただ、誰でも手に取りやすい価格設定は、手塚治虫が本来望むところではないだろうか。

そして、90周年である。
10年の時が流れ、現在の手塚治虫作品の再出版の大きな流れは、上を下へのジレッタで試みられたような”雑誌オリジナル版”の再発である。
雑誌をスキャニングしたものや、原稿を雑誌掲載時に並べなおしたもの(単行本化の改変前にできるだけ近づけ不可能なページは雑誌からスキャニングして補完、コラージュにより再現)などがある。
そして、雑誌と同じB5版であることが多い。

この形で、復刊ドットコムからの、ブラックジャック、ブッダや三つ目がとおるの大作が続いた。
その編集方針に基づき、奇子、MWが昨年末、今年と発刊された。
どちらも限定ボックスで購入。複製原稿付きを購入した。
大きな価値は単行本用の改変前の原稿を見ることができることだろう。

どちらも美麗な形で読めて大変満足であった。相当に思い入れのある作品だが、さらにその思い入れは高まった。
また、機会を見つけて、両作品のレビューを書きたいと思う。

唯一残念なのは図説、解説である。
改変意図の解説は確かにされているが、その図版は小さく、ホームページの広告から想像する期待値を大きく下回る。
この状態がブラックジャックのときからずっと続いている。
拍子抜けである。
図版を大きくし、網羅的な解説に変更してほしい。
扉絵も各話で雑誌サイズがみられるとはいえ、どうせならもう少し大きくしてほしいものだ。
カラーや広告カットのギャラリーも同様である。
その分での値段が上がってもかまわない。
ホームページが誇大広告に見えないレベルに引き上げてほしい。

復刊してくれたことへの大きな感謝はもちろんある。ただ、この点のがっかりが繰り返されることが本当に残念だ。







その点において、ダスト18は解説はほぼ同様だが、発見されたネームを雑誌サイズで収録したり、カラーイラストのサイズも大きく、編集者の誠意を感じた。こちらは3456円である。できるはずである。




週刊連載の持つのスピード感、生々しさ、作品の持つ息吹を感じられるオリジナル版。
これからも再発は続くだろう。





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